(簡単な前書き)
お仕事の忙しさを言い訳に、更新サボりが4ヶ月にもなってしまいました。(汗)
きちんと完成してから出したかったのですが、HPを作って1周年になりましたので、
連載のような形で少しずつ発表させていただくことにしました。
続きもなるべく早く書きますので、よろしくお願いします。(^^ゞ
Altair



「夏の夜の騒動」

ここは、都立T高校正門前。都心を離れて住宅地と並ぶ校舎は、あと1時間ほどで日付が変わろうという頃合にもなれば、昼間の活気を忘れたかのように静寂に包まれる…はずであった。

「い〜や〜だ〜〜!!!」
「…お前って、本っ当にあきらめの悪いやつだよな〜」
「なんでわざわざ、やぶをつついて、へびをだすようなことしにいくんだよ〜」
「…出てくるのが蛇なら、まだマシかもな…」
「かえる〜!!!」
「おい、二人とも、漫才はそれくらいにして、行くぞ!」
「さあ♪今夜こそ本番よっ♪」


発端は、1週間ほど前にさかのぼる。

「だから、ホントに見たんだって!」

昼休み、昼食をすませた生徒たちがくつろぐ2年B組の教室に、悲鳴にも近い叫び声が響く。

「分かった分かった、耳元でどなるな!…んで、何を見たんだって?」
「光だよ、ひ・か・り! 昨日の夜、コンビニに行った後、学校の前を通ったら、理科室の窓で光が動いてるのが見えたんだよ〜」
「…理科室の幽霊ってか? また、ベタなネタを…そんな話なら、どこの学校にもあるじゃねえか、なあ、明」
「バカバカしい。大方、宿直の先生の懐中電灯だろう。」
「俺も最初はそう思ったんだよ〜 でも、他のクラスにも見たやつがいるっての聞いてさ〜」
「和也、とりあえず忘れとけ。どうせ、夜の話なんだし、帰宅部のお前には関係なかろう?」
「そりゃそうだけどさ〜」
「非科学的な話には付き合いきれん。まあ、話はすんだみたいだな」

向き直って、手にしていた本を開こうとした明の視界が、突然の閃光に包まれる。

「うわっ!…冴子さん!?」
「えへへ〜、いいでしょ〜、このカメラ♪」
「いきなり撮らないでくださいよ…どうしたんですか? かなり高級な機種ですよ、これは」
「この前、連続窃盗グループの犯行現場を撮ったでしょ。その写真が手がかりになって、窃盗グループは一網打尽。警察から感謝状と金一封もらったのよ。おかげでついに、前からあこがれてた、このカメラが買えたってわけ♪」
「…金一封くらいで買えるような値段とは思えんが?」
「うちはカメラ店でしょ。ずっと前から、うちのパパと価格交渉してたのよ」
「なるほど」
「感謝状は校長先生に渡したし、これで、新聞部の部費も大幅アップが期待できるわっ♪」
「…しっかりしてるよ、この人…」
「何か言った?繁君」
「いえ、なにも」
「そこで」
「え?」
「話は聞かせてもらったわ」
「な、なんのことでしょ〜?」
「『夜な夜な理科室にうごめく謎の光。その正体が今ここに明かされる!』 次号のトップは、これに決まりね♪」
「ダメです!冴子さん。いくら校舎の中とは言え、深夜の取材は女性には危険すぎます! この前だって、どれほど危なかったことか」
「ここにちゃんと、ボディーガードがいるじゃない。今度は3人も」
「え゛!?」
「明君の言うとおり、女の子1人じゃ危険でしょ。それなら…」
「い〜や〜だ〜〜!!!」

椅子から転げ落ちながら逃げ出そうとした和也であるが、起き上がったときには、笑顔の冴子が目の前にいた。

「和也くん、第一発見者として協力してくれるわよね」
「なんでだよ〜、見たのは俺だけじゃないって話、聞いてなかったのかよ〜」
「あら、だから『3人』って言ってるでしょ。新しいカメラのデビューなのよ。みんな、お・ね・が・い♪」
「冴子さん1人を危険な目に合わせるわけにはいきません。協力します」「いやだよ〜、なんとかしてくれよ〜」「…仕方ない、付き合ってやろうぜ」「そんな〜」
「オッケー。それじゃ、今夜11時に正門前に集合。頼りにしてるわよ♪ じゃあね〜」

足取りも軽やかにA組の教室に向かう冴子を追いかけて、授業5分前の予鈴が響く。

「…いつの間にか、仕切られとったな…」
「ああ、いつものことだ」
「なんで俺まで〜」
「…何とかならんのか? あの性格。一応、お前ら付き合ってるんだろ?」
「そうだよ、何とかしろよ〜」
「ふっ…愚問だな」
「何ぃ!?」

明はゆっくりと立ち上がると、息を整えて一言。

「このぼくが、冴子さんにかなうとでも思っているのか!」
「…胸を張って力説できるセリフかい」


(続く)



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